違いすぎる夜

2005年5月5日 ポエム
あの日 彼の部屋を埋め尽くしていたのは
お互いを 愛しいと思う気持ち それだけだった

ベッド横のステレオから流れる 初めて聞く少し癖のある女性の声
夢の中まで 心地よさが襲う

泣き喚く海に立ち止まることも 
触れられない君を只想うことも 
同じ空は明日を始めてしまう
例えあたしが息を止めても

そう その女性は歌ってる
なんて切ないの

CDを変えようとする彼
「ダメ・・・ そのままがいい・・・」

半分夢のままの声で答えたあたしのその台詞を
彼はリピートする
そしてこう言いました

「甘いなぁ・・・」

それは 限りなく
愛しさに溢れた声

男の子に 甘いなんていわれたら
大好きな人に 甘いなんていわれたら
溶けちゃうよ

もう一度CDをかけ直す
椎名林檎の「同じ夜」

あの日
この曲を好きになったのも
何かの運命だったのかもしれないけれど

あの日はまだ
彼の部屋をうめつくしていたのは
お互いを愛しいと思う気持ち それだけだった

シエル

2005年5月1日 ポエム
一瞬ドキッとしてしまった

水溜りをひとつ飛び越えて
持っていたオレンジ色の傘を 一つくるっと回転させて
伏せていた目をあげた瞬間

飛び込んできたのは
全身お空模様の女性だった

トレンチコートのシルエット
高い鼻と 想像するとブロンドだと思う髪の毛も
すべてが その人は空模様だった

時折 すぅっと雲が彼女を通過していく
水色をした彼女に模様をつくるように

風はゆるい

周りを歩く人は 彼女には気づいていないのか
気づかないふりをしているのか
ただ いつもの早足で イニシャルとなって歩いていく

うつむきかげんのその空模様の女性もまた
水溜りを見ながら
何かつぶやいている
そして
ふと 私の視線を感じたのか顔をあげた。

次の瞬間



彼女からお空模様が溶け出した
それはAirの中に溶け出し
わたしは はっきりと それが自分へ向かってそよいでくるのを感じた

お空模様がなくなった今
彼女は真っ白なシルエットになっていた
そして 彼女は笑った
そんな気がした

ブロンドかもしれない髪をなびかせながら
風に抵抗することなく
むしろ 彼女が風になったかのように 歩きだした

表参道の白いビルの前を通り過ぎ 
そこで 彼女を見失ってしまった

私は走ってその白いビルへと近づいた
新しくできたばかりの
私には興味もない ブランドのビルのその白い壁には
水色の文字で 風ふかれているような文字が書かれていた

Ciel et parapului

傘。
顔を上げてみる
すると そこには。
傘の天井には。
さっきの女性と同じ 綺麗な空模様が広がっていた

ゆるい風がふいている
時折 すうっと 雲が私の傘の天井を通過していく

ピンクの花を想像した
すると 不思議なことに 私は今までかいだこともないような
幸せな香を感じた
黄緑色の草むらを想像した
すると 朝の若草の上光った雨露が 宝石のようにわたしの心を輝かせた



大丈夫


私は雨の日にはいつも この傘をさす
空模様の天井の上には オレンジ色の太陽

そのうち この傘がなくなっても
私は心の中に 晴れた空模様を描けるようになるだろう
そうしたら
私もまた
空模様した あの女性のように
風がふくように 自由気ままに 歩いていけるはず
白いベッドの上 好きな人にだけ存在を知ってもらえるアンクレットが どれだけ幸福なものか 想像していたより強い刺激と甘い気持ちが心に流れ込む

アンクレットを付ける事を覚えたのは
山田詠美さんの書いた Body cocktailに出てくるカナとゆう少女が付けていたから


めんどくさいからと
穴をあけたもののピアスはいつもつけていなくて
ブレスレットも上手く片手じゃつけれないし
邪魔だから必要ないと
アクセサリーなんてほとんどしないけれど

アンクレットだけは特別
毎朝ルーズソックスを履く前に 一種の儀式のような気持ちで私はそれをつける

彼の部屋のベッドで  彼がルーズソックスを脱がすと
待ちきれない気持ちで そのアンクレットはまばゆく光る
自分しか知らないという事実は 彼を
そして 彼しか知らないという事実は 私を
何より感じさせてくれる

いちいちキスをしたこと セックスしたことを自慢げに話す年は早く卒業したかった

彼との恋愛は 自分だけのものにして
ひとり唇をかみしめたい気持ちを楽しむ

アンクレットは そんなわたしのSecret Key

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

この日記について

日記内を検索